特集:地域をひらこう!/清政朱音さん
まちづくりディレクター/一級建築士/
寒河江市企画創成課 地域おこし協力隊
山形市と近隣の寒河江市、上山市、村山市、天童市、東根市、尾花沢市、山辺町、中山町、河北町、西川町、朝日町、大江町、大石田町を合わせた7市7町はひとつの大きなエリア「山形連携中枢都市圏」として互いに協調しながら、よりよい地域づくりを進めています。このシリーズでは、その山形連携中枢都市圏を形成するエリアで地域をおこす活動をされている方たちにフォーカスし、そこでどんな活動をされているのか、そこにはどんな魅力があるのか、お話を伺います。
今回ご紹介するのは、寒河江市で地域おこし協力隊として活動されている清政朱音さん。大阪で生まれ育ち、建築分野で活躍されてきた清政さんがなぜ寒河江のまちに暮らしているのか、まちにどんな可能性を感じているのか、お聞きしました。
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清政さん:これまでずっと大阪に暮らしてきましたが、「もっと自然に近いところに暮らしたい」「ゆたかさを感じる暮らしがしたい」と、地方への憧れをずっと抱いていました。それで「地域おこし協力隊になろう」と思い、出会った場所がこの寒河江市です。
地域おこし協力隊としてのわたしのミッションには大きく3つ。ひとつは中心市街地の活性化。ふたつは、地域資源を生かしたまちの賑わいづくり。みっつは、NPO活動の支援、というものです。このまちにくるまえの大阪では、内装会社で現場監督をしたり、設計事務所で設計の仕事をしたりと建築分野でキャリアを積んできましたので、そうしたスキルを活かしながら、例えば古い商業施設の利活用のプランニングをしたりなどをする一方で、建築のスキルとは全くちがった「なんでも屋さん」的な業務もやったりと、ソフトもハードも含めた広い意味での「まちづくり」をやらせてもらっています。
着任から一年が経ち、寒河江というまちは「いなか初心者にちょうどいい田舎」だと感じます。買い物やライフラインに不自由はまったくない一方で、車で10分もいけば豊かな自然に恵まれてもいます。あまりに田舎すぎると移住や暮らしのハードルがグッと上がっちゃいますけど、寒河江は都市感も田舎感もほどよくどちらもあるので、それこそ「都会に疲れたから、ちょっと田舎に移住したいな」っていう人にはぴったりだと思いますね。
わたしとしてはこれから、この寒河江のまちで、空き家の活用であるとか、民泊施設をつくるとか、そういったことのお手伝いをぜひ積極的にやっていきたいと思っています。古いものに新しい価値を見出すことはとても好きなことですし、大阪時代からのテーマでもあります。なんでも新しくしたり、新しいものに一番価値があると考えたりするのではなく、古いものだからこそ出せる雰囲気や魅力があったり、新しい用途が見つかったりする、というのが面白いと思います。ですから、「空き家を使って民泊をやりたい」とか「古民家を買ってリノベーションしたい」というようなまちの人たちの要望に寄り添って、そういう事例をひとつひとつ増やしていって、点を線にして、それがやがて面となっていってまち全体が盛り上がっていくような、そんなことになればいいな、と思っています。
(写真/清政朱音さん。チェリーランドさがえ河川敷のコスモス畑にて。ミッションのひとつであるNPO活動支援の一環として、清政さんはここでコスモスの種まき作業も行った。)